ベルデです。
今回は国立医大4年生の僕が、リアルな医学生の生活についてまとめてみました。
最近ではYouTubeやTikTokでも医大性の日常vlogも多く、以前によりイメージしやすくなってきてはいます。とはいえ、まだまだ詳しく知りたいという方(特に医学部志望の高校生や親御さん)も多くいると思うので、そんな方たちにに向けて実際に医学部4年生で大学生真っ只中の僕が、国立大学のキャンパスライフをぶっちゃけで書いていこうと思います。一般的な大学生と同じようなところも、医学部ならではのこともあるので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
1. 医学部生活のスケジュール
ご存知の通り医学部医学科は6年制です。ここでは6年間の大まかなイメージを書いてみました。大学によってカリキュラムは異なりますのでそのあたりはご了承ください。なお、僕はまだ4年生なので、5,6年生の生活は先輩の話などを参考に書いたものです。
- 1年生:教養科目中心。週に何日かは医学の専門科目の授業を受ける。普通の学生生活って感じ。特に教養科目の日は空き時間も多いので楽。たぶん6年間で一番暇で、進級しやすい学年。多くの人が部活に入る。主な科目は英語、第二外国語、選択科目(文系科目も取れたりする)、解剖学(座学)、生理学、発生学、生化学、組織学、神経解剖学など。
- 2年生:医学部らしい授業が増える。大学によって教養科目はもうなくなったり、2年生まではあったりなど様々。医学部ならではの解剖学実習があるのはこの学年。医学部に入って最初の関門が2年生で、基礎医学のテスト地獄が辛い。マジで辛い。ここで留年する人が多い。主な科目は神経生理学、解剖学(実習)、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学、病理学など。
- 3年生:教養科目が完全になくなる。医学の勉強だけとなり、基本的に週5朝9時から夕方4時半まで毎日授業。と、聞いたら「しんどくね?」となるが、臨床の授業が増えて、出席管理が基礎の先生よりゆるいので大丈夫(
臨床の先生がゆるいのは、先生が学生時代に僕らのようにサボったりしていたため。昔は出席チェックもゆるく、学年の2~3割しか出席していなかったりだったらしい、良い子はちゃんと出席しましょう!)。主な科目は臨床科目(消化器、循環器、呼吸器など)。 - 4年生:ここで基本的に部活を引退するけど中には6年生まで続ける人もる、すごい。国試のプレテスト的なCBTと実技試験のOSCEのある学年で、大体夏から秋にある大学が多い(僕の大学は夏でした)。臨床の授業やテストをこなしながらCBTの勉強もしないといけないので忙しい。CBT、OSCEは再試があるけどそれにも落ちたら即留年。なのでここも医学部での関門の一つ。主な科目は臨床科目、公衆衛生、法医学など。CBT、OSCEに受かると、年明けからはいよいよ臨床実習(ポリクリ)が始まる。
- 5年生:授業はない。ひたすらポリクリでいろんな診療科を回る。この間に病院見学を行い、就職についても考え始める。先輩方いわく、座学よりも勉強になるし楽しいらしい。
- 6年生:病院実習が少しだけあって、あとは国試(2月)に向けて勉強する。国試の合格率は90%だが、だからこそ落ちたらいけないというプレッシャーがすごいらしい。夏に研修病院の採用試験を受ける。
よく言われるのは、「奇数学年は楽で、偶数学年は大変」ということです。2年生は基礎医学の試験、4年生はCBT、6年生は国試があるからです。実際に4年生の自分も、再試にかかったのはもっぱら基礎医学で、割とこの言葉は正しいように思います。
一方で世間では、医学部はずっと忙しい、試験を1つでも落ちたら即留年など言われますが、そんな事はありません。実際は「忙しいときもあるけど楽なときも多い」だと思います。真面目で優秀な人が多いのは事実ですが、ガリ勉ばかりの集団でもないですし、よく遊び、よく学ぶ事が大事だと思います。
2. 具体的な勉強と試験
医学部生活のスケジュールだけ見ると、「めっちゃ忙しそう!大変そう!」と思われますが、実際の医学生は毎日勉強してるはずもなく、試験1週間前に詰めて勉強する人が多いです。そこで使うのは医学生とって強力な武器、過去問です!
高校までとは違い、医学部でのテストはほぼ過去問ベースに作られており、先生が変わらない限りはみんなこれを使ってiPadで試験勉強をします。というのも、医学は難解で、日進月歩の世界でもあるため、授業資料を見てもどこが大事なのか、テストに出るほど基本的な事柄なのかさえわからないことが多いです。たまに1から教科書を通読して理解しようとする人がいますが、正直オススメできません。そういったことは試験に受かって知識を深めるとき、もしくは他にやることがないぐらい暇なときにしかしないほうがいいでしょう。それよりもその科目のエッセンスが載っている過去問をしっかりするほうがいいです!
昔の大学生や今でも一部の大学では部活の先輩から脈々と受け継がれてきた過去問があり、それを手に入れるために人脈が必須であったようですが、今では大学入学直後に学生が設置したクラウドのアカウントが配られ、その医学部に通うだれもが過去問にアクセスできる環境が整っています。
3. サークル・部活動
一般的な大学生はバイトをして、たまにサークルに参加することと思います。
しかし、医学部では医学部独自の部活が存在し、多くの人が何らかの部活に所属することとなります。これは医学部のキャンパスが全学キャンパスから離れていることが多いことが理由の一つです。なぜサークルは少なく、部活ばかりなのかは不明ですが、部活の組織というのは医師になった後の医局の制度に似ているのではないかと思います。多くの部活は運動部で、野球やテニス、陸上、バドミントン、弓道など様々な部活があります。そして医学生だけの大会、東医体や西医体に向けて練習しています。また、部活では縦のつながりが強く、年に数回OBも招いた懇親会などもあったりします。
ただ、昔ほど全員が全員部活に入るということでもなく、私達のような最近の世代(Z世代)には、最初から部活に入らない人も増えてきました。というのも、先程の過去問を部活に入らなくても手に入れられる状況になったことが関係しているからだと思います。私は部活に入っていましたが、部活に入ると大会や練習試合の遠征費用、新歓や追いコンの費用がかなりかかり、経済的にしんどいという一面も持っているので、部活は入らなければならないかと聞かればそんなこともないと思います(バイトに行く時間が削られるというのもありますし)。
もちろん部活に入ると友人や先輩、後輩とのつながりも生まれ、楽しいです。僕自身も部活でであった同期と親しくなり、交友関係はもっぱら部活が中心な気がします。交友関係を広げたい、スポーツをしたいという人は、ぜひ入部することをおすすめします。
4. お金事情(国立医大ならでは)
医学部への偏見、「第一に勉強が大変そう、第二にお金が掛かりそう」だと思いますが、国立大学に関して言えば全くそんな事はありません。
国立大の医学部は、文学部でも法学部でも工学部でも入学金や1年間にかかる金額は同じで、入学金が28万2000円、年間授業料は53万5800円です。医学部は6年制なのでその分他学部より2年分多く費用がいりますが、それでも350万円程度で高くはありません。6年通っても、私立文系の学費よりも安くなっています。
「じゃあ学費以外のお金の事情はどうなの?」と聞かれれば、「人によりけり」です。国立なので私立と違い、開業医の息子や娘ばかりというわけではありませんが、普通の大学に比べるとやはり「親が医者率」は高いと思いますし、医者じゃなくても経済的にゆとりがある家庭出身の人が多い感は否めません。僕自身は親族に医者はいない「マグル」ですが、マルフォイ家のような何代にもわたる純血一族の友人も多くいます。月に数万円の奨学金を借りているような人もいれば、一人暮らしで大学から近いところに住んでいるのに外車で通っている人もいる、そんな不思議なコミュニティです。
そうそう、言い忘れていましたが僕の通っている大学では地元出身の人はそんなに多くはいません。学年の2~3割がその県出身、3~4割が大学と同じ地方(中国、関西とか)出身、残りの3~4割が外様で、北は北海道から南は沖縄までいろんな出身の人がいます。なので多くの人が一人暮らしをしています。一人暮らしは大体みんな大学近くのマンションに住んでおり、家賃はその県や立地にもよりますが4~6万がボリュームゾーンだと思います。生活費は部活に入っていると5~10万程度です。
僕自身の感触では、医学生はお金がかかるのが実情だと思います。iPadもみんな持ってるし便利だと高いけど買わないといけないし、部活の遠征や友達と飲みに行ったり遊ぶに行くのにも結構お金がかかります。なんだかんだ教材を買ったり旅行に行ったりすると結構カツカツです…。
5. 恋愛・人間関係
まず最初に断っておきましょう。
医学生になったからといってモテるわけではありません!!!
僕も医学部に合格してすぐは淡い期待を持っていました。僕の合格を聞いた近所のひとから「色んな人に言い寄られないよう気をつけないとね」なども言われました。ですがその心配は無用、モテません。言い寄られたりもしません。
そもそも僕たちは医学生であり、医者ではありません。確かに医者は結婚には困らないとよく言われますが、所詮医学生はお金もない医学知識を少しかじった程度の学生です。医学生でモテる人は、もともとモテる要素を持っているような人です。肩書に甘んじず、しっかりと自分磨きをしましょう。
じゃあ医学生の恋愛はどんなものか。簡潔に言うと学内恋愛が多いです。それも医学部内での。そもそも閉鎖的なコミュイティである上、出会いが少ないです。都会の大学だと周囲にもいろんな大学があり、交流もあることと思いますが地方の国立大ではそんなことはありません。高校生みたいに、同じ学年の人同士であったり、部活の先輩後輩の関係で付き合ったりするのが多いです。実際にいま僕がお付き合いしているのも同じ学年の人です。医学生はモテないですが、結局学内恋愛が盛んになる印象です。看護学科の人と付き合うのも、よくありそうで意外と少ないイメージです。
6. バイト事情
なんせ部活をしているとお金がかかるのが医学生あるある。ですが、部活は週に3回ほどあり、バイトに行くにも時間がない。「お金はいるのにバイトができない」というのが実情です。
人によってバイトは様々ですが、多いのは塾講師と家庭教師です。これは、部活や授業で時間がない医学生にとって、高単価で短時間のバイトは都合がいいからです。また、医学生は受験の知識もそれなりにあるので、割とやりやすいバイトであると思います。
一方で、飲食のバイトや事務系のバイトをしている人も多くいます。僕もいまは飲食オンリーです。まかないが食べられることや、家から近いことも理由に挙げられます。
まとめ
国立医大生の生活は「遊びもあるけど勉強はまあまあハード」。
お金の面では私立より恵まれているけど、試験や将来のプレッシャーは避けられません。
これから医学部を目指す人は、こんなふうにリアルも知っておくと安心です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
